あなたは、元雨上がり決死隊の宮迫さんがオーナーの焼肉店「牛宮城」をご存知でしょうか。ネットニュース等にも頻繁に記事にあがってきますので、ご存知の方も多いと思います。紆余曲折経て、晴れて3月1日にオープンしたとのことで、早速実食体験を投稿する有名人の方々もたくさんいらっしゃいますね。
企画段階からオープンまでの経緯は宮迫さんご自身のyoutubeチャンネルでも公開されており、そのエンタメ性も相まって、ある意味、今一番日本で有名な焼肉店と言ってもよいのではないでしょうか。そんな「牛宮城」ですが、経営者の視点で見たときにどうなのかポイントを3つあげてみました。
オープン前は「撤退した方がいい」、「失敗するからやめろ」など散々な言われ方をしておりましたがオープンに向け試行錯誤を重ねた関係者の努力には素直に拍手を送りたいと思います。
肝心の焼肉のお味は、様々な人から概ね良い評価をもらえてるようですので、間違いはないのでしょう。「撤退」を叫んでいたホリエモンこと堀江さんも良い評価していましたね。
ポイント1:売上はどのくらいになるのか
まずはどんな商売でも基本となる売上はどのくらいになるのか想定してみたいと思います。「牛宮城」の基本データは以下の通りです。
席数 | 72席 | 焼肉:12卓、すきやき:6卓(1卓4人がけと想定) |
稼働日 | 365日 | 年中無休 |
営業時間 | 7時間 | 17:00~24:00 |
客単価 | 10,000円 | 食べログの口コミから想定 |
店舗家賃 | 280万円 | 1か月あたり |
飲食店の売上の公式は
売上 = 席数 × 席稼働率 × 回転率 × 客単価
になります。公式に当てはめると1日あたりの売上は
売上(日) = 72席 × 70% × 2回 × 10,000円 = 1,008,000円
になりました。席稼働率と回転率は焼肉店という業態で人気店ということを鑑みてかなり高めに設定しました。年中無休ですので、毎日この数字を売り上げることができると仮定すると月商は
売上(月) = 1,008,000円 × 365 ÷ 12 = 30,660,000円
になりました。どうでしょうか、結構な売上になりますよね。
ポイント2:利益は出せるのか
売上はわかったところで、では利益は出るのでしょうか。オープン前はその店舗家賃の高さが話題になっていましたが。ここでいう利益は財務会計でいうところの本業の儲けを表わす「営業利益」で話を進めます。
ここで、飲食店経営におけるメジャーな指標としてFL比率というものをご存知でしょうか。売上に対する食材費(Food)と人件費(Labor)を足した比率のことです。一般的な飲食店での目安は60%と言われています。これを頭に入れながらひと月あたりの営業利益を3パターンほどシミュレーションしてみたいと思います。
FL比率:60% | FL比率:65% | FL比率:70% | ||||
売上 | 30,660,000 | 100% | 30,660,000 | 100% | 30,660,000 | 100% |
変動費(食材費) | 12,264,000 | 40% | 12,264,000 | 40% | 13,797,000 | 45% |
限界利益 | 18,396,000 | 60% | 18,396,000 | 60% | 16,863,000 | 55% |
固定費 | ||||||
人件費 | 6,132,000 | 20% | 7,665,000 | 25% | 7,665,000 | 25% |
家賃 | 2,800,000 | 9% | 2,800,000 | 9% | 2,800,000 | 9% |
水道光熱費 | 3,066,000 | 10% | 3,066,000 | 10% | 3,066,000 | 10% |
その他経費 | 3,066,000 | 10% | 3,066,000 | 10% | 3,066,000 | 10% |
営業利益 | 3,332,000 | 11% | 1,799,000 | 6% | 266,000 | 1% |
以外と言ったら失礼かもしれませんが、3パターンとも営業利益は黒字になりました。高すぎると言われていた家賃も売上比率で9%と許容範囲に収まっています。
もし、売上がこの試算どおりにあげることができて、FL比率を60%に抑えることができればかなり経営的にも優秀なお店と言っていいと思います。
ポイント3:持続可能なのか
飲食業界は開店後3年の生存率30%と言われる厳しい業界です。ポイント2で挙げたFL比率60%のパターンのようにできれば繁盛店として継続も可能でしょう。ただ毎日その数字を叩きだす必要があることを考えると、なかなかハードルが高いようにも感じますね。
ましてや現在のコロナの影響による時短営業中では売上も制限されますし利益を残すのはかなり難しいのではないでしょうか。
また、今は話題性抜群でオープニング効果もあり、滑り出し順調とも言えますが、いかに継続してけるかがカギになるでしょう。それは「牛宮城」に限らず全ての飲食店に言えることですが、「牛宮城」には宮迫さんという強力な発信ツールがあるのでyoutubeを通して今後も話題を振りまいて行くことで集客につなげることができるという他店にはないアドバンテージがありますので、その強みを活かして頑張って頂きたいと思います。
私も機会を作ってぜひ「牛宮城」で実食体験してみたいです。