あなたは「ものづくり・商業・サービス補助金」通称「もの補助」をご存知でしょうか。新型コロナウィルス感染症拡大を受け既存事業からの転換を目指す事業者の支援を目的として昨年から始まった「事業再構築補助金」は聞いたことがあるかもしれません。従来なら「もの補助」こそが中小企業が活用すべき補助金と言ってよく、自社事業の生産性向上に資する設備投資や新商品開発に使えるという魅力は失われていません。3月15日から申込受付が開始される第10次から今までのもの補助と大きく変化していますので変更点を4つに絞って解説します。

ポイント1:従業員規模に応じた補助上限額の設定

第9次公募までは従業員規模に関係なく一律補助上限額として1,000万円というのが「もの補助」の常識でしたが、今回から以下のように従業員規模に応じて3段階の補助上限額が設定されています。従業員規模に応じた縛りを設けることによって、より実態にあった適正な投資を検討してもらいたいという意図が感じられます。

従業員数補助上限額
5人以下750万円以内
6~20人1,000万円以内
21人以上1,250万円以内

ポイント2:補助対象事業者の見直し・拡充

第9次公募までは業種ごとに違いはあるものの資本金は最大3億円までの中小企業が対象でしたが、今回から特定事業者として、従業員数が以下表に当てはまれば資本金10億円までの企業も対象になります。中小企業から中堅企業へ成長途上にある企業群を支援するという意図があるようです。

業種常時従業員数
製造業、建設業、運輸業500人
卸売業400人
サービス業又は小売業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)300人
その他の業種(上記以外)500人

ポイント3:3つの新枠を創設

今回から新たに3つの申請枠が追加されています。その代わり第9次公募まであった「低感染リスク型ビジネス枠」は廃止されています。コロナ禍を乗り越えて新たな重点政策である「賃上げ」・「DX推進」・「脱炭素」などに関連して企業を支援するという意図があるのでしょう。

新設枠概要
回復型賃上げ・雇用拡大枠業績が厳しいながら賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者が行う革新的な 製品・サービス開発又は生産プロセス・サービスの提供方法の改善に必要な投資を支援
デジタル枠DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービス開発又はデジタル技術を活用した生産性向上に必要な投資を支援
グリーン枠温室効果ガスの排出削減に資する革新的な 製品・サービス開発又は 炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービスの提供方法の改善による生産性向上に必要な投資を支援

ポイント4:加点要素の追加

今回から以下の2つの加点要素が追加されています。

  • 再生事業者
  • デジタル技術の活用及びDX推進の取組み状況(デジタル枠のみ)

再生事業者の定義

まとめ

いかがでしたか。初めて検討される方にはいまいちピンとこなかったかもしれませんが、総じて政府の大きな方針に沿った変更と言えるのではないでしょうか。補助金は私たち事業者が納めた法人税などの税金が財源になっているので政府の方針に従った変更というのはある意味必然と言えるでしょう。補助金をゲットするのは何かと面倒くさい手続きがありますが、うまく活用すればあなたの事業の成長に間違いなくよい影響を与えてくれると思います。あなたもぜひ検討されてみてはいかがでしょうか。