今年の補助金界隈で最も話題を集めた「事業再構築補助金」ですが、令和3年11月26日、令和3年度補正予算案が閣議決定され、令和4年度も引き続き継続することが予定されることになりました。発表された内容を見るといくつか変更点が加えられていますので、来年チャレンジしたいと思っている事業者の皆さまにポイントを5つに絞って解説します。

事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、中小企業庁の「中小企業等事業再構築促進事業」の一環で(独)中小企業基盤整備機構を通して行われる補助金になります。
公式サイト(https://jigyou-saikouchiku.go.jp/)では「新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことが重要です。そのため、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援します。」となっています。

ポイント1:売上高10%減少要件の緩和

現在行われている第4回の公募要領では売上高減少要件として、
「(a)2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が、コロナ以前(2019年または、2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少しており、(b)2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して5%以上減少していること。
となっていますが、このうち(b)の部分を撤廃し、(a)の部分のみを要件とするように緩和されます。
この意図としては、コロナ禍に対して自力で頑張って売上を回復した事業者にもさらなる成長を後押しするということかと思います。

ポイント2:通常枠の補助上限額の見直し

多くの事業者が該当することになる「通常枠」ですが、従業員規模によって補助上限額が今までより細分化されます。

従業員規模 補助金額 補助率
第5回公募まで 第6回公募以降
20人以下

100~4,000万円

100~2,000万円 【中小企業】2/3
(6,000万円超は1/2)
【中堅企業】1/2
(4,000万円超は1/3)
21人~50人

100~6,000万円

100~4,000万円
51人~100人

100~8,000万円

100~6,000万円
101人以上 100~8,000万円

ポイント3:回復・再生応援枠の新設

第6回からは「緊急事態特別宣言枠」が廃止され、回復・再生応援枠が新設されます。
「引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者を対象として、最大1,500万円まで、中小企業については補助率を3/4に引き上げ(通常枠は2/3)手厚く支援する。加えて、事業再構築指針の要件について、主要な設備の変更を求めないこととするといった緩和を行う。」とのことです。
申請要件としては、「2021年10月以降のいずれかの月の売上高が対2020年又は2019年同月比で30%以上減少していること」となるようですので、算定月は異なるものの「緊急事態宣言特別枠」と同等の申請要件になると思われます。

ポイント4:グリーン成長枠の新設

第6回からは「卒業枠・グローバルV字回復枠」が廃止され、グリーン成長枠が新設されます。
グリーン分野での事業再構築を通じて高い成長を目指す事業者を対象に、補助上限額を最大1.5億円まで引き上げた新たな申請類型を創設する。売上高10%減少要件を課さない。」とのことです。
これは、脱カーボンの世界的な流れを汲んでのことと思いますが、投資額の大きい事業に取り組む事業者向けと考えられます。詳細は今後の情報を待ちたいところです。

※グリーン分野とは
グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組
経済産業省(https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/ggs/index.html

ポイント5:新規事業売上高10%要件の緩和

現行、事業再構築指針において定められている、事業再構築で新たに取り組む事業の売上高が総売上高の10%以上になる事業計画を作成することを求めている要件について、付加価値額の15%以上でも認めるとのことです。
これも、政府の方針に従った変更になり、新たに取り組む事業によって雇用拡大や賃金アップの方向を支持しようとするものと考えられます。

※付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費

まとめ

まもなく第4回公募が締め切られ(締切12月21日)、今年度も第5回を残すのみとなります。今年度の事業再構築補助金の予算は1兆1,485億円というとても大きなものでした。それに比較すると来年度の予算は6,123億円とほぼ半分になります。
第3回までの予算消化は約6,000億円程度と見られ、1回あたり2,000億円程度が消化されていることを考えると、来年度の公募は3回の予定ですので、1回あたりの採択率はだいたい今年度と同等の採択率になりそうです。
あなたもこれからチャレンジしようとご検討中であればチャンスはあります。ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。補助金ありきの消極的な動機ではなく、補助金を使ってさらに事業を成長させる強い意志をお持ちならぜひご相談下さい。