先日、大手ディスカウントストアのドンキホーテが、「しくじり市」というセールをやっているという記事を見つけました。(J-CASTニュース:ドンキの正直すぎるセール「しくじり市」なぜ誕生? 広報が明かす「仕入れ失敗」への「猛省」
なんでも、

コロナ禍でお客さまの需要が変わってくる中、自分で仕入れをした商品に対し、過去の成功体験から『ニーズのある商品だから売れるはず!』という思い込みで、見切り(処分)が遅くなってしまい、それが大量の売れ残りを作ってしまいました。

とのことらしいです。その上で、

状況に困窮した店舗からも、『利益減を伴う在庫を一掃する方法はないか』と要望が多々ありましたので、仕入れ失敗への対応遅れを猛省し、お客さまに対して素直に状況を説明したうえで、『しくじり市』という場にて特価品としてお客さまに喜んでいただこうと、実施することとなりました

と説明されていました。

私はこのニュースを見たとき、さすがにドンキは売り方をよく心得ているなと感心しました。なぜなら、値引きに正当な「理由」をつけているからです。

なぜ値引き「理由」が必要か

「値引き」とはあなたの商品やサービスの価値を下げることに他なりません。あなたの商品やサービスを正当な価格で買ってくれた顧客の顧客満足度を下げることにもつながります。
そうは言っても、今回のドンキのように売れない商品をいつまでも在庫として抱えておくことはできませんので、値引きをしてでも売り切りたいというのは経営判断としてはごく当たり前です。
では、あなたの商品やサービスの価値を下げずに、価格を下げるにはどうしたらよいでしょうか。だからこそ値引きに「理由」が必要になるのです。

期限のないセールはセールではない

最近はあまり見かけないですが、「在庫一掃セール」や「閉店セール」と銘打って、年がら年中セールをやっている風のお店がありましたね。セールと言ってお得感を出していると思うのですが、顧客からすると、今ついている値段をその商品の値段と知覚してしまいますので、仮にそのお店がセールをやめて価格を上げたらもはや誰も買ってくれなくなるのは目に見えています。セールは期間限定でなければならないのです。

ドンキの「しくじり市」では

あらためてドンキの「しくじり市」の理由を見てみると、コロナの影響を見誤って大量に仕入れてしまったため売れ残ってしまったと言っています。商品が悪いのではなく、あくまでも仕入担当者がしくじったのだと言っているのです。顧客からして見れば、「そうか、そういう理由があったんだ。じゃあ、今ついている値段はお得なんだな。」と納得する理由ができます。単に安いのではなくもっともらしい理由があれば、不良在庫となりそうな商品を売り切るという企業側の意図をマイルドに隠しながら顧客満足度を高めることもできるのです。

まとめ

あなたも経営者なら、自社の商品やサービスの価格については日々悩まれていると思います。もう少し「値引き」をしたらもっと売れるんじゃないかという誘惑と戦っているのではなでしょうか。ライバルが値下げしたと聞けば、ウチもやらなければならないという恐怖感にかられているかもしれません。
「値引き」は簡単ですが、もとに戻すのはたいへんです。「値引き」をする前に打てる施策はいくつもあります。それでももし「値引き」をすると決断したのなら、理由をつけて期間限定で行うことをお薦めします。

追伸:

私の場合、買い物は目的の物を迷わず買いたいのでドンキに行くと探す時間がイライラして逆にストレスが溜まってしまうという理由からドンキに積極的には行ってません。。。
ちなみに、ドンキのような陳列手法は圧縮陳列といいます。