あなたも何かと話題のZOZO(ゾゾ)をご存知だと思います。
社長である前澤氏が何かと話題を振りまいてくれるので
メディアにもよく取り上げられますし、その言動やハンパない
お金の使い方によって大量のアンチも生み出していますが、
企業としての実態はどうなのでしょうか。
PB(プライベートブランド)事業が失敗したとか、「ZOZOARIGATO」
という会員向け割引サービスに出店ブランドが反発し、大量に
ブランド離反を招いたとか、イメージだけが先行していますが、、、
2019年3月期末決算資料から読み解いてみたいと思います。
ZOZOのビジネスモデルをおさらいする
ZOZOはファッションに特化したECサイトを運営していますが、
出店ブランドから商品を仕入ているわけではありません。商品を
預かってサイトからの注文に応じて商品を引き当て発送するいわゆる
「フルフィルメント」サービスを提供し出店ブランドから手数料を
徴収するビジネスモデルなんです。
売上高の91%は手数料収入ですから、実際PB事業の商品などはごく
わずかなのです。
このビジネスモデルは売上総利益(粗利)率がすごく高いのが特徴です。
非常に付加価値が高いビジネスモデルと言えます。
売上は増、営業利益は減
売上高は前期比で約20ポイント(金額ベースで約199億円)ほど増加
しているのです。
出店ショップ数も今期の第3四半期までは一貫して増加してきていました。
第4四半期にかけて-10になっていますが、このあたりは「大量離反」
のイメージとは異なると思います。
離反はあったにせよ、まだまだZOZOに出店したいブランドはあるようです。
売上高に対し、営業利益は前期比で約20ポイント(金額ベースで70億円)
ほど減少しています。
売上高は増加しているのに営業利益が減っている、つまり販管費が増加
しているのですが、その内訳を見てみると、業務委託費、荷造運搬費、
広告宣伝費、給与手当などが目立ちます。
中でも荷造運搬費が金額的に一番大きいところにZOZOのビジネスモデル
の特徴が出ているかもしれません。
その点に関して、(株)小島ファッションマーケティング代表取締役の
小島健輔氏が面白い分析をされていたので、ご紹介させて頂きます。
宅配料金値上げがパラダイムを変えた小島健輔が指摘『ECが儲かる時代は終わった』
負債が増、自己資本が減
短期借入金が220億円増加していることにより負債が増加しています。
一般的に企業が借入金を使って何をするかと言えば、事業成長に結びつく
投資に使うわけですが、今期についてはそれほど大きな投資をした形跡が
ありません。
何をしたかといえば、自己株式の取得です。
自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ
これにより、自己資本比率が前期57.7%もあったのが28.7%に下がっています。
金額の大きさやタイミング等も含めて、この財務政策に何か高度な経営判断が
あったのでしょうか。正直、私にはわかりません。
負債を上げることによりROE(自己資本利益率)を上げるという単純な手法
があるのですが、それにしても自己株式の取得の全てが社長である前澤氏
からいうのが感覚的にはビミョーな気持ちになります。
フリーキャッシュフローは減
営業キャッシュフローに投資キャッシュフローを加えたフリー
キャッシュフローは約87億円となり前期比約26ポイント
(金額ベースで約29.8億円)減少していますが黒字です。
ただ、前述した財務政策によって財務キャッシュフローはおおきくマイナス
になっており、結果的に現金同等物が約34億円減少しています。
結論
売上は伸びていますし、実際のところ出店ブランドも大きく減ったわけ
ではなかったので、イメージほど悪化しているようには見えませんでした。
一方で、販管費が売上の伸び以上に増加しているので、今後の収益力
という点では改善が望まれると思います。
また、自己株式の取得のやり方からもやっぱりZOZOは前澤氏の会社
なんだなというのはイメージどおりではないでしょうか。
株価自体は1年前より半分程度に下がっています。これをどう見るかは
あなた次第です。
世間のイメージに踊らされず冷静に判断したいものですね。